灯油ボイラーからエコキュートへ交換可能?手順や費用、メリットなどをわかりやすく解説

灯油ボイラーから別の給湯機へ交換する場合は、エコキュートがおすすめです。
電気と空気の熱を利用するエコキュートは、灯油ボイラーに比べてランニングコストを抑えることができ、安全性に優れているなどのメリットがあります。
そこで今回は、灯油ボイラーからエコキュートへ交換する手順や費用、メリットなどを解説します。ぜひ最後まで、ご覧ください。
灯油ボイラーからエコキュートへ交換可能?
灯油ボイラーからエコキュートへの交換は、基本的に可能です。
多くの場合、既存の配管や浴槽はそのまま使用できるため、大規模なリフォームを伴わずに切り替えが行えます。
ただし、長年使用した配管に劣化が見られる場合は交換が必要になるため、事前の確認が必要です。
また、エコキュートは電気で稼働する給湯システムのため、200Vの電源設備がない場合は電気工事が必要になる場合があります。
灯油ボイラーからエコキュートへ交換したい場合は、専門業者による現地調査を受けるのがおすすめです。
灯油ボイラーからエコキュートへ交換する手順
灯油ボイラーからエコキュートへ交換する手順は以下のとおりです。
- 現地調査と見積もり後に契約
- 灯油ボイラーと灯油タンクの撤去
- エコキュートの本体設置
- 配管や電気関連の工事
- 試運転
- 使用説明と引渡し
最初に行うのは、現地調査と見積もりです。設置スペースの確認や、既存配管、電源の状況を調査し、どのような工事が必要かを判断します。
併せて、工事費用や本体価格を含めた見積もりが提示され、納得すれば契約を結びましょう。
契約後は、灯油ボイラーと灯油タンクの撤去作業に入ります。特に灯油タンクは屋外に大型のものが設置されている場合も多く、安全性を確保しながら運び出します。
選んだ機種や設置環境によって異なりますが、基本的には灯油ボイラーの撤去後のスペースを活用してエコキュートの貯湯タンクユニットやヒートポンプユニットを設置します。
なお、設置スペースの地盤が不安定な場合は、基礎工事が必要です。
本体設置と同時に、配管や電気関連の工事も実施されます。200Vの電源工事が必要な場合は、分電盤の増設や専用回路の敷設も行われます。
また、給水・給湯・追い焚きの各配管を本体に接続し、外気温が低い地域では断熱材などで保護する作業も含まれます。
工事が完了したら、試運転を実施し、エコキュートが正常に動作するか、水漏れや異常がないかを業者が細かく確認します。
問題がなければ、最後に使用説明と引渡しが行われます。リモコンの使い方や設定変更の方法、停電時の対応などを一通り説明してもらえるため、初めて使う方でも安心です。
灯油ボイラーからエコキュートへの交換にはいくつかの工程がありますが、経験豊富な業者に依頼すれば、スムーズに導入が完了します。
灯油ボイラーからエコキュートへ交換する場合の費用
エコキュートへ交換する際の費用は、本体価格と工事費を合わせておおよそ40万円〜70万円が相場とされています。機種のグレードや貯湯タンクの容量などによって価格帯に幅があるのが特徴です。
一方、灯油ボイラーの設置費用は15万円〜30万円程度とされており、導入コストだけを比較するとエコキュートのほうが高額になります。
また、これまで追い焚き機能のない灯油ボイラーを使っていた家庭で、エコキュートに追い焚き機能を追加したい場合は注意が必要です。
追い焚き用の配管工事が必要になるほか、古いタイプの浴槽では対応できない可能性もあり、浴槽本体の交換やリフォームが求められます。
浴槽の交換やリフォームとなると、60万円~150万円程度かかるため、事前の見積もりと施工内容の確認が非常に重要です。
灯油ボイラーからエコキュートへ交換するメリット
灯油ボイラーからエコキュートへ交換するメリットは、主に以下のとおりです。
- お湯を沸かすためのランニングコストを減らせる
- 燃料を補充する手間が省ける
- 火を使わないため安全性が高い
- 非常時に貯湯タンクユニットのお湯を利用できる
それぞれ、順番に解説します。
お湯を沸かすためのランニングコストを減らせる
エコキュートは「ヒートポンプ技術」によって、空気中の熱を取り込み、少ない電力で効率よくお湯を沸かす給湯器です。
従来の灯油ボイラーは燃料費として灯油を消費しますが、エコキュートは深夜電力など安価な電気を活用できるため、ランニングコストが大幅に削減されます。
次の表は、東京都に暮らしている4人家族がお湯を使った場合の年間ランニングコストをシミュレーションしたものです。
エコキュート | 灯油ボイラー | |
---|---|---|
1月 | 5,198円 | 8,205円 |
2月 | 4,564円 | 7,449円 |
3月 | 3,716円 | 7,804円 |
4月 | 3,270円 | 6,825円 |
5月 | 2,830円 | 5,923円 |
6月 | 2,250円 | 4,774円 |
7月 | 1,752円 | 4,428円 |
8月 | 1,416円 | 3,746円 |
9月 | 1,609円 | 3,900円 |
10月 | 2,426円 | 5,032円 |
11月 | 2,882円 | 5,928円 |
12月 | 3,554円 | 7,314円 |
年間 | 35,467円 | 71,328円 |
実際のランニングコストを保証するものではありませんが、灯油ボイラーからエコキュートへ交換した場合、年間4万円程度の節約効果を得られます。
エコキュートの初期費用が40万円~70万円に対して、灯油ボイラーは15万円~30万円程度です。
初期費用の差額を40万円と仮定した場合、年間4万円程度の節約効果により、10年以上使い続ければ初期費用の差額を回収できる可能性があります。
お湯を沸かすためのランニングコストを節約したい方は、エコキュートへの買い替えを検討しましょう。
燃料を補充する手間が省ける
灯油ボイラーを使用していると、定期的に灯油を購入してタンクに補充する必要があり、寒い季節や雪の多い地域では大きな負担になります。
また、灯油の残量を常に気にしなければならず、万が一切らしてしまうと給湯が使えないという不便さも灯油ボイラーのデメリットです。
一方、エコキュートは電気をエネルギー源としてお湯を沸かすため、燃料の補充作業がありません。
日々の暮らしを便利にしたい方は、灯油ボイラーからエコキュートへの交換をおすすめします。
火を使わないため安全性が高い
灯油ボイラーは燃焼によってお湯を沸かすため、排気や火災のリスクがゼロではありません。特に換気が不十分な場所では、一酸化炭素中毒の危険性も考慮する必要があります。
一方、エコキュートは電気と空気の熱を使ってお湯を沸かすため、火を一切使いません。そのため、燃焼事故や排気ガスによるトラブルの心配がなく、安全性に優れています。
小さな子どもや高齢者のいる家庭でも安心して使用できる点は、エコキュートの大きなメリットといえるでしょう。
非常時に貯湯タンクユニットのお湯を利用できる
エコキュートは貯湯タンクユニットにお湯を溜めておく貯湯式給湯器です。貯湯タンクユニットに溜めてあるお湯は外部から取り出すことが可能なため、災害や停電などの非常時にも生活用水として活用できます。
例えば、手洗いや洗顔、トイレの洗浄などに使えるため、防災面でも心強い設備です。
ただし、エコキュートの貯湯タンクユニットで溜めているお湯は高温のため、取り出す際は火傷に注意しましょう。
灯油ボイラーからエコキュートへ交換する際の注意点
灯油ボイラーからエコキュートへ交換する際の注意点は、主に以下のとおりです。
- 設置スペースを確認する
- 電源工事が必要な場合がある
- 水圧が弱くなる可能性がある
- 寒い地方は凍結対策が必要
それぞれ、順番に解説します。
設置スペースを確認する
灯油ボイラーからエコキュートへ交換する際は、設置スペースの確保が重要です。
エコキュートは「貯湯タンクユニット」と「ヒートポンプユニット」の2つの機器を屋外に設置する必要があり、灯油ボイラーよりも大きなスペースを要します。
特に貯湯タンクユニットは人の背丈よりも大きい場合があり、設置場所の周囲に十分な空間がないと施工できません。
また、搬入経路やメンテナンスのための作業スペースも必要となるため、事前の現地調査で正確に確認しておくことが大切です。
電源工事が必要な場合がある
エコキュートは200Vの電源で稼働する給湯設備のため、灯油ボイラーからの交換時には電源環境の確認が不可欠です。
一般家庭では100Vの配線しか備わっていない場合も多く、その場合は新たに200Vの専用回路を引く必要があります。
また、分電盤に空きがない場合は分電盤の交換や増設が必要になることもあり、その分の費用が追加される可能性を否定できません。
築年数の経った住宅では、電気設備の容量が不足しているケースもあるため、工事前の現地調査で必ず確認しましょう。
水圧が弱くなる可能性がある
エコキュートはお湯を溜める際に、貯湯タンクユニットが内部から圧力で変形しないように減圧する仕組みです。
給湯時にお湯と水道水を混ぜて、設定した温度まで下げますが、水道直圧式の灯油ボイラーに比べるとシャワーの勢いや浴槽のお湯はりにかかる時間などで違いを感じます。
最近のエコキュートは水圧が300kPa前後に達しているため、浴室が2階や3階にある場合でも対応可能です。
しかし、灯油ボイラーに比べるとシャワーの水圧が弱い可能性がある点には注意しましょう。
寒い地方は凍結対策が必要
寒冷地でエコキュートを設置する場合は、凍結対策をしっかりと行う必要があります。
エコキュートの配管やヒートポンプユニットが屋外に設置されるため、冬場に気温が氷点下になる地域では、配管内の水が凍って給湯できなくなる恐れがあります。
対策としては、凍結防止ヒーターの設置や、配管への保温材巻き、一晩中少量のお湯を流すなどが挙げられます。
寒い地域でも快適にエコキュートを使うためには、寒冷地仕様のモデルを選び、事前に十分な凍結対策を講じること重要だと覚えておきましょう。
灯油ボイラーからエコキュートへ交換する際におすすめの補助金制度
エコキュートは高い省エネ性能を持つため、補助金制度の対象となることが多く、初期費用を抑える大きな助けとなります。
2025年度で注目されているのが、経済産業省資源エネルギー庁が実施している「給湯省エネ2025事業」です。
「給湯省エネ2025事業」では、対象となる一定以上の省エネ性能を備えたエコキュートを購入することで、1台につき6万円の補助金を受け取ることができます。
さらに、条件を満たすと補助金額は最大13万円に引き上げられるため、灯油ボイラーからの交換を検討している方には非常に有利な制度です。
全国を対象とした制度であり、地域を問わず申請が可能なので、コストを抑えて灯油ボイラーからエコキュートへ交換したい方は、ぜひ活用を検討しましょう。
まとめ
以上が、灯油ボイラーからエコキュートへ交換する場合の解説になります。エコキュートは省エネ性能の高い給湯器で、安全性に優れているため、灯油ボイラーから別の給湯機に交換したい場合におすすめの選択肢です。
ただし、エコキュートはメーカーによって機種や特長が異なるため、適切な機種を選ぶためにはある程度の知識が求められます。
「エコ冒険島」では、専門的な知識を身につけたスタッフが、お客さまに合った機種を提案いたします。また、メーカー正規品を低価格で販売しているので、ぜひご相談ください。